今日、予診をしてた時に出会った60歳の女性。
急にめまいだか、手のしびれを感じて、神経内科を受診してMRIを撮ったところ、脳幹の動脈に動脈瘤ができていたそうです。
普通はカテーテルで穴埋めしたり、オペで結索するのですが、血流を止めると、脳幹に血液がいかなくなって、それこそ呼吸停止、心臓停止してしまうので何もできない。
破裂した場合に手術をするか、そのあと、植物人間になるか、死ぬしかないと言われたとのことでした。
動脈瘤とは、動脈の分かれ道の間に圧が加わって、元々できていた動脈硬化で硬くなってないところに力が加わって風船のように血管の外に膨れ上がる状態ですが、動静脈奇形があれば、若い人でもなり得ます。
彼女は血圧を下げる薬と、高脂血症の薬、それに血圧の変動が少ないように運動や急な寒暖差などを避けているわけです。
本来なら、余命まであと20年。
でも、いつ死んでもおかしくないというのが彼女の状況です。
これって、彼女の年齢だから、彼女の病気があったからではないですよ。
誰にだって、同じだけのリスクはあります。
よそ見運転の車に突っ込まれることもあるし、それこそ動静脈奇形でくも膜下出血になることもあります。
その瞬間はいつ来てもおかしくないわけです。
こういう明日死ぬかもしれないという人に出会うと、その緊張感から今何が大事で、何をするべきかの優先順位が決まってくるべきだし、それを黙々とこなしていく人生であるべきなんです。
じっちゃまはよく、君たちは試行錯誤が足りないと言います。
人生でこれはちょっとおかしい、あっちが楽しそうと思ったら、そっちに行く勇気と覚悟が足りないということです。
でも、いきなり飛ぶ勇気がでないのが普通です。
ではどうしたらいいかというと、毎日、飛ぶための準備を少しずつしていくことです。
情報を得て、知識と技術を少しでも増やす努力を「毎日」することです。
その準備をしていた人の前だけにチャンスは訪れてきます。
さらにいうと、そのチャンスを無駄に使うことこそが実は最高の贅沢なんです。
失敗することが最高の贅沢だと言っています。
その積み重ねが他人からは真似のできない成功に見えるわけです。
そして、そういう人生こそがいつ死んでも悔いのない人生でもあります。