生理学的にEDとセックスレスについて考えてみましょう。
EDは勃起障害です。勃起しないことには入るものも入らないので、セックスもできないわけです。勃起せずには射精もできないので、妊娠もできないわけです。
射精は気持ちよさがあると出ますが、出そうと思って出すことは無理なわけです。
出せるように刺激を加えると勝手に出るわけですが、それは射精が交感神経で制御されているからです。
交感神経は自律神経なので、意識して動かせる随意筋以外で射精を誘導しているわけです。
なので、射精しづらい人というのは、射精を促す外部刺激の閾値が高くなりすぎている人になります。特殊な自慰行為をし続けていたり、挿入時の気持ちよさが足りないと射精しづらいわけです。
さて、問題は勃起です。勃起は副交感神経で調整されています。
つまり、ある程度、落ち着いた環境でないと起こりません。
冬の寒いときや、他人がいるところでは緊張して勃ちにくいわけです。
副交感神経と交感神経は逆に作用することが多いのですが、それは戦わないといけない状況では血糖値を上げて、臓器の機能を下げて、エネルギーを逃げるにしろ、戦うにしろ、骨格筋にできるだけ回したいからです。ライオンとかトラとか外敵がいるのは、一番落ち着かない状況ですから、子作りどころではないわけです。
つまり、勃起障害というのは、そういう風に緊張していると起こりやすいわけです。
セックスパートナーが極端に嫌がったり、もしくは、妻や恋人の過去のセックスパートナーに対する敗北感や競争意識が働くと勃ちにくいということも起こりえます。
たとえば、極端な例ですが、非処女でマグロだと、自分のセックスのテクニックが下手すぎるのかもと自信をなくしてたたなくなるとかはありえます。
結局、男は相手の女性がセックスが好きで、自分とセックスをしたがっているという幻想を元に安心感を勝手に感じ取って、相手も合意しているし、期待もしていると認識して勃起させているわけです。
そう考えると、極端に相手が拒否していて戦闘状態に近いレイプとかで、男が勃起できるのは、嫌がっていても、体は求めているはずだとか、相手に人としての共感を感じられないサイコパス気質があることがわかります。
この辺をもう少し専門的に考えてみると、相手がメスだとわかると、視床下部のMPOAが活性化し、口説き文句を言いながらマウンティングするのが動物の本来の生態なのですが、オスだとわかると攻撃を仕掛けます。また、オスに対するその神経核は口説かずにマウンティングする性質もあるため、レイプ犯とかはこちらの機能が発達している可能性があるわけです。セックスと暴力というのは神経ネットワーク的にもかなり近いところにあるので、そこに異常があると、その行動が絡みやすいということです。
また、逆にうつ状態とかだと、外敵やストレスの元の存在に敏感になっているので、性欲が落ちているような状態にあります。うつでないにしろ、そういう環境だとそうなりやすいので、ストレスの元を取るというのは、EDでは必要になってくるでしょう。