今さら、信長とか何を描くのかと思いつつ、何も期待せずに鑑賞。
ポスターから信長と濃姫の物語っぽいので、冒頭の信長の設定はなんとなくわかる。
問題は濃姫をどう描くのか。
でも、綾瀬はるかにはなかなかセリフのシーンが出てこないわけです。
初夜のシーンになって、濃姫のキャラクターと映画の主人公が誰であるのかがわかります。
それをはっきりわからせるために配役にも気を遣っており、濃姫周辺に有名な俳優を配置し、セリフも多いわけです。明智光秀すらこの映画のいちばん大事なところではないとしつつも、最後におふざけをしてエンディングに持っていくつくり、そして、この映画が一番伝えたかったことを最初から最後までずっと丁寧に描いていたのがよかったです。(バタフライは濃姫の別名から来ていますが、バタフライエフェクト的な要素を客に連想させているのもよいところです。)
史実と違うというか、わかってない隙間隙間を縫ってエンターテイメントに仕上げて、一見、ラブストーリーのように描いていますが、それとも違います。ネタバレ感想を読んでいると、恋愛テンプレ脳的にそこに目が行っている人がいますが、そうではないわけです。
この映画で描かれているのは、人はなぜ生きるのかです。
何のために生きるのかです。
死体を丁寧に描き、信長には逆らうものは殺すのみと言わせておきながら、最後は蘭丸になんでこんなことをしないといけないのかと問いかけます。
生きる目標を濃姫の言葉に見いだし、最後の最後までその道を歩んだ信長が悔いも満足もせずに人生の道に翻弄される。
強いて言えば、濃姫のために生きていたことに価値があったのだという結末です。
でも、本当の主人公は、エキストラで傷つき、死んでいった人たちです。
そして、この映画を観ているあなたですよというメッセージです。
宮崎駿は最後の映画として、君たちはどう生きるのかというそのまんまの映画をつくりましたが、まさにそんなタイトルの映画でした。
それと、今の映像技術をフルに活用して、涙や瞳で感情を表現するシーンが多かったのは良かったです。3時間近い映画に客を集中させるという意味でも効果的でした。
あとでわかったのは、脚本がどうする家康の人で、監督がるろうに剣心の人ということで納得でした。