
20代前半の処女の女性はおよそ99%は妊娠可能(処女かどうか無視すると95%)で、男性の場合、不妊症は15%から24%くらいなので、不妊の本来の原因は男性の方が圧倒的に高いわけです。
確率的にオスはX染色体とY染色体が一つずつしかないので、その中の1遺伝子でも機能不全だと正常じゃなくなるというのが理由ではないかと推測します。知られている遺伝子異常は確かにXY染色体に乗っているのですが、20%近くが不妊症というのは孤発型の軽い遺伝子異常がそれだけ多いのかもしれません。
卵子が一生ものであるのに対して、精子は毎日新しいのが作られていますし、精子のもとの精原細胞は複製分裂機転が働くので、その間に強力なDNA修復回路が回ります。
それくらいの勢いで修復しないと精子のもとは使い物にならないともみることもできます。
DNA修復機転にはいくつもの多重構造で働いています。
最後に引用しているのは現状の教科書的な話ですが、大事なポイントは通常の細胞分裂では圧倒的な修復能力があるということです。
精原細胞ははそれを行いますが、卵母細胞は行いません。
女性の35歳以上の出産で遺伝子異常のリスクが上がるのも、卵母細胞に変異がたまってきているからです。
BERやNER以外にもTERという転写時に起こる修復機転などがありますが、どれも複製時の修復能力には敵いません。
卵母細胞が加齢で痛む理由は、複製によるDNA修復ができないからです。
一方、男性の精原細胞は分裂できるのですが、精子を生みだすときの減数分裂でDNAがリスクにさらされます。精子になってしまうと、修復機能が落ちてしまうのと、加齢でエピジェネティックな修飾が増えて、自閉症などにつながっていきます。
精子でいればいるほど、DNAにはダメージがたまるわけです。
つまり、ため込みすぎてない精子で、女性ができるだけ若い時に妊娠するのがベストということです。
1. 体細胞でのDNA複製時の修復機構と精度
DNA複製中のエラー修復: 体細胞分裂(有糸分裂)でDNAが複製される際、複製の精度を高めるために以下の修復機構が働きます。
校正機能(Proofreading):
- 概要: DNAポリメラーゼは、塩基を追加する際にエラーがないかを確認する「校正機能」を持っています。誤った塩基が追加された場合には直ちに修正を行います。
- 精度: 校正機能の精度は非常に高く、1回の複製で約10万~100万塩基に1つのエラーに留まるとされています。
ミスマッチ修復(MMR: Mismatch Repair):
- 概要: DNA複製後、校正機能で修正しきれなかったミスマッチ(誤った塩基対)を検出し、誤った塩基を含む新生鎖を切除して修復する機構です。
- 精度: MMRによりエラーは約1000分の1まで減少し、最終的に1回の複製で10億~100億塩基あたり1つのエラーに留まります。
塩基除去修復(BER: Base Excision Repair)とヌクレオチド除去修復(NER: Nucleotide Excision Repair):
- 概要: 酸化、脱アミノ化などの小規模な損傷にはBER、大きな損傷(例: 紫外線によるピリミジンダイマー)にはNERが用いられます。
- 精度: これらの修復機構は、損傷を特異的に認識し、正常なDNA配列に戻すため、精度は非常に高く損傷部位を正確に修復します。
2. 減数分裂でのDNA修復機構と精度
減数分裂では、通常のDNA複製後に相同組換えが行われ、染色体の一部が交換されることで遺伝的多様性が生まれます。減数分裂でのDNA修復は以下の仕組みで行われます。
相同組換え修復(HR: Homologous Recombination Repair):
- 概要: 減数分裂の第1分裂前に二重鎖切断が意図的に発生し、相同染色体間で正確なDNA交換が行われます。これにはBRCA1、BRCA2などの遺伝子が関与しており、DNA切断の修復と同時に遺伝情報の再編が行われます。
- 精度: 相同組換え修復は高精度で、DNA配列がほぼ完全に元通りに修復されます。減数分裂の過程では意図的に組換えが行われるため、エラーは極めて少なく抑えられます。
減数分裂特有のDNA修復:
- 概要: 減数分裂期には、遺伝的多様性を生むために自然な組換えイベントが促進されますが、この過程で特定のタンパク質が組換えの精度を維持します。
- 精度: 減数分裂では一部のエラーがそのまま遺伝することもありますが、これが進化の多様性の基盤となります。
3. 精子形成(精子発生)でのDNA修復機構と精度
精子形成過程(精子発生)では、細胞分裂や減数分裂と異なるDNA修復ニーズがあります。精子は他の細胞に比べて特殊なDNA保護メカニズムを持っています。
クロマチン再構成とDNA保護:
- 概要: 精子の発生過程で、DNAはヒストンからプロタミンというタンパク質に置き換えられ、非常に凝縮された状態に再構成されます。この過程でDNAが物理的に保護され、損傷のリスクが減少します。
- 精度: 精子のDNA凝縮により、環境的なDNA損傷が大幅に減少しますが、修復自体は行われないため、凝縮前に損傷が修復されていることが重要です。
相同組換え修復と非相同末端結合(NHEJ):
- 概要: 減数分裂における二重鎖切断の修復には相同組換えが使われますが、精子の成熟が進むにつれ、精子細胞ではNHEJによる応急的な修復が優先されるようになります。
- 精度: NHEJは高精度ではありませんが、迅速な修復を提供し、精子形成の完了を助けます。精子形成ではこれが一種の妥協的な修復機構として機能します。
エピジェネティックな修復機構:
- 概要: 精子形成期には、DNAメチル化やヒストン修飾などエピジェネティックな修飾が行われ、これが次世代への遺伝情報伝達にも影響を与えます。
- 精度: 精子のエピジェネティック修飾は厳密に調整され、遺伝子発現の調整や受精後の初期発育において重要な役割を果たします。
1. 卵巣の細胞
- 卵母細胞: 卵母細胞は減数分裂を行いますが、その開始は胎児期です。胎児期にすでに第一減数分裂を開始し、途中で停止します。このため、卵母細胞そのものは出生後は通常の分裂を行いません。
- 卵巣内の支持細胞(顆粒膜細胞、間質細胞など): 卵母細胞をサポートする顆粒膜細胞や間質細胞は、卵母細胞が成熟していく過程で通常の体細胞分裂(有糸分裂)を行い、成長や発達を助けます。これらの支持細胞は思春期以降も有糸分裂を行い、卵巣の機能維持やホルモン分泌に寄与します。
2. 精巣の細胞
- 精原細胞: 精子の元になる精原細胞は、思春期以降に通常の分裂(有糸分裂)を繰り返し、新たな精原細胞を供給します。また、精原細胞の一部が減数分裂に入り、精子の形成に寄与します。
- 精巣内の支持細胞(セルトリ細胞、ライディッヒ細胞など): 精巣の支持細胞も通常の分裂(有糸分裂)を行います。セルトリ細胞は精子形成をサポートし、ライディッヒ細胞はテストステロンを分泌するため、成体になってからも通常の分裂が継続されます。