夫婦の会話というのを考えてみましょう。
A)幼少期、学生時代、職歴など過去の話
B)政治、経済、教育、事件、事故といった新聞に載るようなポリシーの話
C)子供の成長と教育の話
D)現在の仕事の話
E)現在の趣味や友人の話
F)現在の健康状態の話
G)食べ物の話
AやBはお互いの価値観がどう形成されてきたかを認知、確認する作業になります。
自分の歴史は結婚前から何度も話しているでしょう。それでも、聞いていなかったエピソードとかがたまに出てきますが、お互いの印象の上積みに小石が積み重なった程度になります。
政治や経済に関しては、新しい見方や事情を教え合うことで、比較的議論が進む分野ではあります。話の方向性はどこへでも進めるので良いのですが、身近な生活への影響はほとんどないため、そこから家族外の人と話すときのネタになるという意味で外向きの話題作り的な意味合いの方が強くなります。
Cは何かを決定しないといけない話です。生物として根源的な使命の一端を担うものであり、社会的にも成功するのかどうかが決まるかのようなものであると同時に思い通りにいかないものでもあります。ここは夫婦で話し合うというより、それぞれが子供に対してどれだけコミットして向き合うかの方が大事であり、その体験の共有が家族の幸福度の源泉でもあります。
Dは愚痴になりがちですが、愚痴にならないような働き方を目指しましょう。
Eは共通の友人や、会ったことがあるくらいの関係を増やせるようにすると、同じ目線で話せるようになるでしょう。ただ友人は時間と共に変わっていき、物理的距離がどんどん離れていくのでそこまで積み上がっていかないのが難点です。
さて、実は一番大事なのは、FやGになります。
相手を気遣う、相手の健康を願うことの象徴はこの二つに対するスタンスで決まってくるからです。子供も含めて、長期にわたる積み上げがしっかりと残っていき、信頼関係の基礎となるからです。長きにわたり、積み上がっていくのは家族の中での健康に対する意識です。夫婦の歴史、家族の歴史とは、家族の中での健康に対する価値観の共有とそれをブラッシュアップしてきた歴史になります。家族の絆の本体はそれであり、それが弱いと離婚とか、一切、親に連絡しないような家族になってしまいます。