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生物科学研究への取り組み方をまとめてみた

生物科学研究への取り組み方をまとめてみた

これから研究する人に向けて研究の取り組み方をまとめてみます。

今回参加した学会は午前と午後の総入れ替えで半日で1300くらいのポスターが発表され、それが初日半日の5日間なので、11700くらいあるわけです。

昔は、すべてのポスターを端から端まで全部見ていたので、足が棒になっていましたが、最近はピックアップした180くらいのポスターを中心に見て、あとは人が集まっているポスターを追加で見ていくスタイルにしています。

 

A) 一番大事なことは何がわかっていないのかはっきりしているのと、それが解決できる手法を使っているのかどうかという点。(50点)

 

B) 特定の細胞や分子が何らかの機能を持っているという結果であるべき。

メカニズムがわかったということです。

行動の変化、病態や生態の変化として検出できること(15点)

例)視床下部のと規定の細胞群を刺激することで冬眠しない恒温動物も冬眠できる。


C) さらにそれで明らかになることがどれだけ人々の興味を惹けるかという点。科学者だけでなく、一般の人の興味を惹ける内容であるのがベスト。(1~15点)


日本の研究者にありがちだったこの遺伝子をノックアウトしたら、何が出るか調べてみようがいかに価値がないアプローチかわかると思います。目的が決まってないし、一般の人は遺伝子単体には興味を持ちません。


D) あとは使っているテクノロジーの新しさと多彩さです。様々なアプローチで一つのことを証明するのを学際的と表現します。(1~20点)

 

自分の場合、大学院生の最初の仕事は80点くらいですが、その後から留学中の仕事が33点とかで、最近の研究が94点とかになりました。


結果、どのようなスタイルになるかをまとめると、

 

最新テクノロジーの銅鉄実験

 銅鉄実験とは銅でこうだったから鉄でどうか調べようというアプローチで、免疫学やがん研究でこうだったから、神経科学で調べようという方法で、最も成功確率が高く、少なくとも神経科学の中では偉そうな顔をできる方法です。大抵の場合、莫大な予算が必要で決してみんなができる方法ではないですが、成功確率が高いので採用されやすいです。

 

最新テクノロジーそのもの

 新しいことがわかる、測定できるという方法論そのものにも価値があるとみなされます。やり方次第では方法論をほぼ独占できるので優位性が出ますが、成功する確率が低めなので、これ一本でやる人はほとんどいません。

 

ハイスループットの最新テクノロジーで網羅的に調べたもの

 お金をかけて全部調べ尽くしたという方法ですが、全体の風景が分かっただけで、実はこんなのが新しく見つかったという結果にはつながりにくく、まぁ、そうだよねということが多いです。

  

 分子と分子の関係性を調べたもの

  分子と分子が結合したら何が起こるかという研究で細胞実験もしやすく、昔から好まれてされることが多い方法です。一度検出系を確立すると、銅鉄ではないですが、違う条件でどうなるかという実験が組みやすく、仕事を量産しやすいのがメリットです。ただマクロにつながる実験系がないとインパクトは伸びません。

 

分子や特定の細胞の役割そのもの

 基本的には、特定の分子や細胞を増やしたり、減らしたり、活性化したり、抑制したりして機能を調べます。この実験はほぼマストです。さらにマクロの系であるとないとではインパクトがまるで変わります。

病気が治った、炎症が減った、行動異常が治ったなどマクロの実験系は必ず用意した方がいいでしょうし、1番最初の実験をそのマクロで裏取してからスタートするのが理想です。これはBの話でもあります。


大学院生やポスドクの最初の頃、自分の研究って、価値があるのかなとか悩みがちですが、以上のクライテリアから考えれば、その価値はある程度点数化できます。


わからなければ、相談してもらえると生物科学であればアドバイスはできると思います。